BtoB領域で活動するプロクリエイターやマーケターにとって、「いかに信頼関係を築くか」は永遠のテーマだ。しかし、テキストコンテンツは読者のインプット負荷が高く、動画は「ながら見」が難しい。

いま、その両者の「すきま」を埋めるメディアとして、Podcast(音声コンテンツ)が再評価されている。

今回紹介したいのは、ビジネス映像メディア「PIVOT」が公開した一本の動画だ。年間1000本のコンテンツを制作するPodcastプロデューサー・野村高文氏(株式会社Chronicle 代表取締役)をゲストに迎えたこの対談は、単なるノウハウを超え、「AI時代に人間が語るべきこと」の本質を鋭く突いている。

この記事では、動画で語られる野村氏の知見を基に、我々が「今、何を企画し、発信すべきか」を再考する。


1. なぜBtoBマーケターは「Podcast」に注目すべきか

動画の中で野村氏は、Podcastが持つ3つの強みを挙げている。「①ながら視聴」「②滞在時間が長い」「③人柄が伝わりやすい」だ。

特に注目すべきは、「滞在時間の長さ」と「人柄の伝達」である。

野村氏によれば、Podcastはリスナーの完聴率(最後まで聴かれる確率)が7〜8割と非常に高く、リピート率も安定するという。これは何を意味するか。

BtoBマーケティングにおいて、企業理念や製品開発の背景、創業者の哲学といった「重たく、複雑なメッセージ」は、短い広告や記事では伝えきれない。しかし、「長く聞いてもらえる」Podcastなら、その深い文脈を丁寧に届けることが可能になる。

さらに、「人柄が伝わりやすい」点も重要だ。イェール大学の研究を引用し、野村氏は「視覚情報がない方が、相手の感情を正確に読み取れる」と指摘する。BtoBの信頼構築とは、突き詰めれば「人」の信頼だ。声という「全人格的な」情報を通じて、企業の「中の人」の体温や誠実さを伝える上で、Podcastは最適なメディアとなり得る。

2. AI時代に「選ばれる企画」を生む3つの着眼点

では、具体的に「何を語れば」いいのか。

この動画の白眉は、AI時代のコンテンツ制作論だ。野村氏は「AIによって『正しいこと』や『要約』の価値が提言した」と断言する。AIが得意な領域で勝負するのではなく、人間に残された「偏り」こそが価値になるという。

この「偏り」を見つけ、企画の種にするための「3つの補助線」として、野村氏は以下を提示する。

  1. 職業: 世間の平均よりも、あなたが絶対に詳しいこと。
  2. 人生: あなたのユニークな人生経験と、その選択の背景にあるストーリー。
  3. オタク的な熱量: 誰にも求められなくても、語り続けてしまうほど好きなこと。

これは、自社のコンテンツや自身のキャリアを見直す上で、非常に強力なフレームワークだ。

3. 「専門性」+「身体知」= 唯一無二の価値

特にプロクリエイターやマーケターの読者に刺さるのは、「専門性+身体知」という視点だろう。

AIは「ノウハウ(専門性)」を提示できても、**「そこに至るまでの過程(身体知)」**は語れない。

あなたがクライアントワークで経験した失敗、それを乗り越えた具体的なプロセス、その時に感じた葛藤。それこそが、AIには模倣できない「あなただけの偏り」であり、読者(リスナー)が本当に聞きたい説得力の源泉となる。


まとめ:あなたの「偏り」は何か?

PIVOTが提供したこの対談は、単なるPodcastの作り方を超え、「AI時代にクリエイターと企業がどう生き残るか」という、「balubo magazine」のテーマにも通底する重要な示唆を与えてくれる。

野村高文氏が提唱する「偏り」の価値。

今一度、自問してみたい。

あなたの「偏り」は何ですか? あなたにしか語れない「身体知」は、どこに眠っているだろうか。

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